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きみと嘘のキス ネタバレ!あらすじや結末予想も!

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漫画「きみと嘘のキス」をネタバレ解説

この物語を一言で表すなら――
それは“嘘から始まる、本当の恋”。

物語の根底に流れているのは、「自分の気持ちを誤魔化すことでしか、相手の傍にいられない」苦しさです。
理玖も悠も、互いに惹かれ合っている。
けれどその想いをまっすぐに伝えることができず、“嘘”という形にすがることでしか、繋がりを保てなかった


🌙理玖の心理 ――「代わりでもいい」は、本音ではなかった

理玖は悠の兄・陽の“代わり”として抱かれることを受け入れてしまう。
これは、表面的には自己犠牲のようでいて、実は“愛に飢えた心の悲鳴”なのです。
悠に触れられたい、傍にいたい――その願いが強すぎて、「代わりでもいい」という言葉で自分を守っている。

でも、本当はずっとわかっていた。
悠の手が触れるたびに、彼が自分を“兄の影”として見ていることを。
それでも離れられなかったのは、理玖の中で“嘘でも、彼と繋がっていたい”という想いが勝ってしまったから。

この“嘘の関係”こそが、理玖にとっての愛の証であり、同時に一番の呪いだった。


🌤悠の心理 ――罪悪感と臆病さの狭間で

一方の悠も、決して冷たい人間ではない。
兄・陽を失った喪失感と、理玖への恋心の間で、彼はずっと苦しんでいた。
“兄の代わりとして抱く”という言葉は、愛情の否定ではなく、自分の気持ちを正面から認める勇気がなかっただけ

理玖を想うほどに、兄への罪悪感が強くなる。
兄と理玖を結ぶ“過去の誤解”が、彼の中でトラウマのように残り、
「理玖を好きになること=兄を裏切ること」という思考にすり替わってしまっていたのです。

だからこそ、悠にとって理玖との関係は“嘘”でありながら、同時に“懺悔”でもあった。
触れるたびに心が救われるのに、同時に痛む――そんな矛盾を抱えていたのです。


💔「嘘のキス」は、“真実の証”でもある

タイトル『きみと嘘のキス』は、実はとても深い意味を持っています。
“嘘”とは、単なる偽りではなく、本音を隠した優しさの裏返しでもある。

理玖にとっての嘘のキスは、「代わりでもいいから傍にいたい」という願いの証。
悠にとっての嘘のキスは、「好きだと言えない苦しさ」の逃げ道。
つまりこの“嘘のキス”は、**二人が互いを想うがゆえに生まれた“優しい嘘”**なのです。

そして最終章で、その“嘘”が終わる。
理玖が本音をぶつけ、悠が過去と向き合い、ようやく二人は「本当のキス」を交わす。
その瞬間、タイトルの意味が反転する――

「嘘のキス」は「真実のキス」に変わる。

この構造が、本作の最大のテーマであり、最も美しい伏線回収でもあります。


🌹物語の核心 ――“代わり”から“唯一”へ

この作品の真のゴールは、恋人になることではありません。
理玖が“代わり”ではなく“唯一”として愛されること。
悠が“罪悪感”ではなく“本心”で理玖を抱きしめること。

その瞬間、物語はやっと救われる。
二人の関係を縛っていた過去の誤解も、兄・陽の影も、静かに消えていく。
そして残るのは、“たった一つの真実”。

「好きだから、嘘をついた。」
「でも今はもう、嘘なんていらない。」

――この言葉こそ、『きみと嘘のキス』という物語の最も深いメッセージです。


💬総評(考察のまとめ)

  • “嘘”=相手を想うあまり、自分を守るための偽り

  • “代わり”=愛の不在ではなく、愛の形を見失った状態

  • “キス”=その両方を繋ぐ、最後の“真実の行為”

つまりこの物語は、

嘘を重ねることでしか愛せなかった二人が、
嘘を捨ててようやく愛し合えるようになるまでの、心の再生物語。


最後のページを閉じたあと、静かに胸に残るのは“痛み”ではなく、“安堵”です。
理玖と悠のキスは、もう嘘ではない。
それは“赦し”であり、“始まり”のキス。

――「嘘のキスの終わりに、ようやく“きみ”を手に入れた。」

そんな余韻を残して、物語は幕を閉じるのです。